まほろば@mahoroba148です。
私はセールが大好きです。
普段高くて買えないものもセールになっているとつい買いたくなります。
特にkindleセールにはお世話になっていまして、このブログでご紹介している本はセールの恩恵を受けているものばかりです。
しかし、自分が一生懸命生み出した作品(商品)がセールにされているのはどんな気持ちでしょうか?
今回は「本」をテーマに作家にとっていい客とは何か考えてみます。
そこから見えてきたのは町の本屋がなくなる理由でした。
セールをする意味
まずはセールをする意味を考えてみます。
- お店側は売れ残った商品を売り切りたい
- 客側は安く商品を手に入れたい
セールは店と客がWin-Winの関係であると考えられます。
普段より安い値段で売ることになるのは店側にとっての痛手になりますが、何もしなければ売り上げは0(ゼロ)です。
少しでも売り上げになるならばセールとして売り切る方がいいと考えるでしょう。
また、セールによって見込み客を囲い込む効果があります。
セールで試しに買ってもらい、まずは使ってもらうことを前提としましょう。
同じ効果として試供品が考えられますが、試供品と異なるのは少しでもお金を払うという点です。
全く興味のないものにお金を払おうなんて思わないですよね?
お金を払う=質の高い見込み客を囲い込むことができるのです。
町の本屋がなくなる理由
次に利益の話をします。
1000円の商品を売ると利益は1000円と思いがちですが、実際は商品を仕入れるために費用を考えなければいけません。
売り上げ-仕入れ額=利益です。
商品や業種によって考え方は違いますが、飲食店を例に挙げると、利益は売り上げの約70%という考え方が一般的です。
たとえば1000円のランチならば、利益は700円です。
1000円 × 70% = 700円(利益)
本屋の場合はどうなると思いますか?
飲食店では売り上げの約70%だったのに対し、本屋の利益は約20%になります。
たとえば1000円の本ならば、利益は200円です。
1000円 × 20% = 200円(利益)
この200円の利益から人件費、運営費など仕入れ額以外にかかる費用を捻出しなければいけません。
また、本の値段の改定は再販売価格維持契約により禁止されています。
再販売価格維持(さいはんばいかかくいじ、英語: resale price maintenance)とは、ある商品の生産者または供給者が卸・小売業者に対し商品の販売価格を指示し、それを遵守させる行為である。再販売価格維持行為(再販行為)、再販売価格の拘束とも呼ぶ。
要はメーカーが小売業者に対し商品の小売価格の値段変更を許さずに定価で販売させることをいう。
<引用>『再販売価格維持』ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 2017年7月11日 (火) 19:24 UTC
URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8D%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E7%B6%AD%E6%8C%81
飲食店のように利益がほしいからといって販売価格を上げることはできないのです。
本を販売しても利益は約20%しかない。これは町の本屋がなくなる理由の一つと言えるでしょう。
さらには仕入れ自体にも大きな壁があるようで、ここでは割愛しますが、本屋は予想以上に厳しい市場といえます。
作家の利益
作家の利益は約10%といわれています。本屋よりもさらに低いです。
たとえば1000円の本ならば利益は100円です。
1000円 × 10% = 100円
ただ、約10%というのは良い方で無名な作家では10%にも満たないそうです。
「塵も積もれば山となる」ずっと市場に出回っていればいつかは…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、売れない本は市場にすら出ません。
初版部数もその人の実績や認知度、市場の動向から出版社が判断します。
作者が売り出したいと思っても売れる見込みがなければ少ない部数で販売されます。
そして、販売されずにお蔵入りとなる作品も少なからずあるそうです。
販売されなければもちろん、作家の利益は0(ゼロ)。
むしろ、本にかける時間を考えたらマイナスですね。
kindleセールはどうなのか
次にkindleセールについて考えます。kindle=電子書籍の場合です。
先述で本の値段を変えることはできないと言いました。
しかし、電子書籍には全く関係のないことだそうです。
電子書籍の価格は自由に変更できるので、定価そのままでも安く売っても違反にはなりません。
セールで安売りした場合、作家の利益はどうなるのか心配になりますよね。
この点も安心してください。
販売する際に印税はいくらという契約を結ぶそうです。
たとえば印税が100円と決まっていれば仮に50円で売られていても作家には100円の印税が入ります。
kindleの場合、セールのリスクを背負うのはAmazon側であって作家にはしっかりとした利益が入ってきます。
作者の視点(私見)
余談ですが、私自身も音楽でお金をもらっています。
なんだかすごい人風に聞こえますが、アマチュアミュージシャンで自分で作った歌をまとめて、販売しています。
制作費は「音楽のお金は音楽で稼ぎたい」というルールを作り、資本を元にライブでの戻り金、CDの売り上げで生計を立てています。
とはいえ、正しく計算をしていないため実情は仕事で稼いだお金の中から出ています。
販売方法としては手売りと楽器店での販売サービスを利用しています。
楽器店での販売サービスは売り上げの30%が手数料として引かれるため利益は70%です。
正直なところ、この30%の手数料だけでもつらいなぁと感じます。
手数料だけでもつらいのに、セールなんてされてしまったらひとたまりもありません。
ただ、少しでも多くの人の手に渡るならば、たとえ手数料がとられてもセールにされたとしても戦略としてはありだと思います。
幸いなことに楽器店での販売サービスでは勝手にセールされるなんてことはないですが、楽器店の知名度と販売リスクの低さから販売店サービスは利用し続けます。
【まとめ】正しく購入すること
人によってセールの捉え方は違います。
ただ一貫して言えることは「正しく購入する」ことです。
海賊版の映画だったり、無料転載の漫画だったり、作者の思いもよらないところで作品(商品)が公開されてしまっています。
違法な方法で公開する人が悪いのですが、違法な方法でしか見ようとしない人がいるのもたしかです。
もしかしたら違法サイトと知らずに見てしまったということもあるでしょう。
気が付いたならば見るのをやめましょう。今からでも遅くはありません。
違法サイトでは1円も作者に還元されません。
たとえセールだとしても、正しく購入することが作者への励みとなるでしょう。
そして、お気に入りの作者をもっと応援したいという方は、家族や友人にオススメしましょう!