株式会社まほろばの鈴木(@mahoroba148)です。
学生に向けて特別講義をしてきました。
過去に2回行ってきたルネサンスデザイン・美容専門学校の学生に向けた特別講義。
今回も1年生に向けて進路の参考になるように講義を行ってきました。
講義の内容はmusuvimeの過去のブログに書いてあるのでそちらを見てもらうとして、当ブログでは講義の中で行ったワークショップ(以降、ワーク)に着目していきます。
目次
実際に行ったワークの内容
講義・セミナーというと聞くことがメインになります。
聞いているだけでは眠すぎるので、実際に考え、動く時間が必要だと思います。
その自論を元に、新しいワークを作りました。
その名も「即席チームバトル!工数内でより多くのポイントを稼げ!」
ゲームの内容を簡単に説明すると以下の通り。
- チーム戦
- 限られた工数内でタスクを実行
- ポイントを多く獲得したチームが勝ち
タスクと表現していますが、ボタンをポチポチと押すだけでできるゲームです。
テレビゲームで例えれば「MP(マジックポイント)を使って、いかに敵のHPを削れるか」と同じ内容です。
Webページ上でできるこのゲーム、実はAIの力を借りて作成しました。
AIがなかったら数十倍の時間がかかっていたに違いありません。
本題に入る前に「AI」というとめっぽう嫌う人がいます。
そこでAIの使用は悪なのかにも触れておきます。
AIの使用は悪なのか?
AIの使用は賛否両論あると思いますが、私は推進派です。
理由は、ひとりではやりきれないことを手助けしてくれるから。
ときに自分にはない考えが提示されることもあります。
たしかに著作権の問題や情報漏えいのリスクはつきものですが、答えを得るまでの手段が変わっているだけで、Webで検索すること・人に聞くことと大きな差はありません。
注意が必要なのはAIを信じきってはいけないということ。
AIはあたかも事実のように回答を生成することがあります。(ハルシネーション:幻覚)
また、AIに頼りきってしまうと人間の能力が落ちる点にも同感です。
というか、AIに限らずどんなツールに言えることでしょう。
考えることは想像以上に体力を使うことです。
人々が考えなくても良いように世の中が便利になっているだろうし、人々が考えなくても良いようにさまざまな研究者や技術者が誰よりも考えてつくっているとも言えます。
つまりは適材適所なのです。
AIを使ったワークの生み出し方
内容は主に2つに分かれます。
- ワークの内容
- 実行のためのツール準備
ぼんやりとしたイメージしかなかった内容を1で具体化して、2で実行のためのツールを準備しました。
実際にはシミュレートや準備物の確認なども行ってたので以下の手順で進めています。
- ワークの内容+シミュレート
- 実行のためのツール準備
- ワーク全体の時間割と準備物
詳細説明は後者の3段階で解説していきます。

今回の講義ではワーク参加者の手間を減らすためにツールを用意しましたが、実際の様子を見たところ身の回りの道具だけでも盛り上がりそうに見えました。
1.ワークの内容+シミュレート
アイデア出し
例題を出しながらアイデアを出してもらいました。
最初はまだ考えが定まっておらずぼんやりとしたプロンプト(指示)になっています。
専門学校の1年生に向けてキャリアの講義をします。講義のはじめに「○○」中盤に「○○」というワークを行います。もう一回、休憩がてらワークをやりたいのですが、アイディアを出してください。
10個ほど見てもピンと来ませんでした。
今度は講義の流れからヒントとなるキーワードを指定してゲーム作成を依頼します。
ワークの前に「工数管理」の話題があります。工数管理に関連したゲームにできないですか?
内容決め
リソース分配ゲームがおもしろそうだったので、具体的な条件を出していきます。
ここはAIではなく自力で思いついたことをだらだらと書きました。
「リソース分配ゲーム」にポイント要素を含めて最後に●点以上とれたチームというような発表をしたいです。たとえば最大の工数もしくは時間制限を設けて、その工数もしくは時間内にポイントが振り分けられたタスクをこなします。タスクは時間がかかるが単価が高い、時間はかからないが単価が低い、リスクは高いが時間がかからない、リスクは低いが時間がかかるなどでポイントを振り分け、より多くのポイントを稼ぐことが目標です。タスクを実行するたびにリスクが発生します。失敗・成功のルーレットを回して成功すればポイントが入る、失敗するとポイントは入りません。チーム戦なので最初に作戦タイムを設けます。ゲームのルールに矛盾がでないようにまとめてもらえますか
下手くそな文章ですが、AI相手なら怒られることもありません。
いい感じに解釈してゲーム内容を整えてくれました。
ここまででもうゲームの概要は完成です。
ワークのシミュレート
ゲームの概要ができたところでシミュレートします。
ひとつひとつ自分でやっていると時間が足りないのでここもAIに任せることにしました。
ひとまず一番高いポイントが得られる組み合わせを聞いてみます。
このゲームではもともと「リスク」という概念があるので、リスクを無視した理論値を出してもらいました。
するとAIから提案がありました。
もしタスクに「1回限りの実行制限」がある場合、この組み合わせは異なる結果となる可能性があります。
それぞれのメリット・デメリットも提示してくれます。
ハイブリッド案までも提案してくれますが、タスクの内容はなるべくシンプルにしたかったこととリスクの概念があるため複数回実行をOKに決めました。
ただ、このままだとただの運ゲーになってしまうため、保険(失敗時にもらえるポイント)を加えることにします。
改めてシミュレートしてもらい、細かな調整をしていきました。
2.実行のためのツール準備
実はサイコロを使う方法もあったのですが、計算の手間をなくしたかったのでツールをつくりました。
ゲームの概要をまるまるコピーして制作方法を提案してもらいます。
Web上で遊べるゲームを作ります。下記の実行~集計までWebで完結できるようにつくりたいのですが、どうつくればいいですか?
(以下、ゲームの概要)
これは失敗しました...
ぼんやりした指示だったがために要件定義の話から始まってしまいました。

今は必要ないんだよなぁ
そこで「Javascript」や「PHP」とプログラミング言語を指定してもう一度訪ねました。
すると、今後はコードで具体例が出てきます。
「Javascript」で十分機能しそうだったのでWebページをつくることにしました。
▼公開に必要なファイル
- HTML
- CSS
- Javascript
ここからはひたすらに実行→修正を繰り返します。
言葉の指示だけでコードが修正されるのでおもしろかったです。
しかし、どれだけAIがすごくても思い通りに動かないところがあります。
最終的には自力で直す力が必要です。
不完全箇所
恥ずかしながら、このゲームも不完全です。
ワクワク感の演出のためにタスク実行後にルーレットが回るのですが、ルーレットが止まる位置はランダムではありません。
タスクAの成功ならここ、タスクBの失敗ならここ、というように毎回止まる位置が決まっています。
本当は成功・失敗の範囲の中のランダムな位置に止めたかったのですが、予想以上に時間がかかりすぎてしまいました。
ゲーム自体も1回限りと何度もつかうものではないので、諦めて同じ位置に停止するようにしています。

話をしてくれた学生には気づかれていました…
3.ワーク全体の時間割と配布物
ゲームも実行ツールも出来上がったところでワーク全体の時間割と配布物をつくります。
提案してくれた流れで何分想定ですか?内訳を教えてください。
想定より長すぎたので30分以内におさめてもらえるように指示を修正します。
さらに、万が一インターネットへ接続できなかった場合を想定して、別途ワークシートも用意しました。
ワークシートの内容もAIに依頼します。
手書きの進行管理シートもつくっておきたいです。スプレッドシート(最終的には印刷)をつくるを手伝ってもらえますか
タスクの成功・失敗の判断をサイコロで行います。一覧表にまとめてください。
例: 成功率90%(Aタスク)→ サイコロで「1~5」が出れば成功、6で失敗。 成功率50%(Eタスク)→ サイコロで「1~3」が出れば成功、4~6で失敗。
出力された内容をGoogleスプレッドシートへ反映して完了です。
タスクカードの作成
タスクカードはCanvaで作成しました。
はじめにデザインの雛形をつくり、複製して内容を変更していくだけです。
Web上でさらっと作成できる手軽さがいいですよね。
話が反れるのですが、100円均一で購入したA4サイズで印刷できる名刺用紙(110円)に感動しました…!
10枚つづり×10枚=100枚、デザインはWeb上でテンプレートから作成できます。
紙の厚さは若干薄めではあるものの、これで十分だと感じました。
【まとめ】AIへの指示のコツ
AIを使いこなすためには具体的な指示(プロンプト)が必要です。
今回の中で失敗したケースはどれも曖昧な指示が原因でした。
0から1を生み出すアイデア出しではぼんやりならざるを得ないですが、いつまでも具体的な指示ができないと、最適な答えにはたどり着けません。
- 答えをいくつ出してほしいのか
- 満たさないといけない条件は何か
- 必要な要件は何か
上記のように細かく条件を伝えることで、最適な答えにたどり着けるようになります。
そのためには自分たちの頭で考えることも重要です。

結局のところ、人にお願いするときも、AIにお願いするときも、同じようなもんよ
AIをどんどん活用して、学びに変えていきましょう!